近代の登山史における世界最大の
山岳遭難事故といえば、
そうです八甲田雪中行軍遭難事件ですね。
その事件を題材にした映画『八甲田山』で、
北大路さんが演じる神田大尉の
「天は我々を見放した」という台詞は
有名ですね。
八甲田山という単独峰があるのではなく、
青森市の南側にそびえる
大岳(標高1,585m)を主峰とする
18の山々からなる複数火山の総称が
八甲田山です。
纏めると八甲田山という単独峰は
無いですが、八甲田山と呼んでよい
火山群はあるということですね。
紛らわしいですね。
もし八甲田山の話になって、
そんな山は無いと突っ込まれたら
火山群としての八甲田山を言っていると
言い返しましょう。
それなら八甲田連峰と言えよと
言い返される率はきっと120%ですね。
「映画のタイトルになってるから
誤解してる人が多いけど八甲田山という山は
無いんですよ」
と、言われそうなので一応知ってますよ感を
出して書いておきます。
というわけで、悲しい事件の現場としてでは
ありますが全国的に有名な八甲田の麓に
在る八甲田神社へ行った時の記録。
場所
八甲田神社は、
八甲田山雪中行軍遭難資料館から
田茂木野方面ちょっと走ったところに
あります。
右側に看板が出ていますので気を付けて
走っていれば大丈夫です。

この看板が目印です。
八甲田神社
『八甲田神社』は阿倍比羅夫が八甲田山麓に
山霊を祀り、伊邪那岐大神・伊邪那美大神
ほか諸神を勧請した後に長く廃絶して
しまったようです。
その後、北畠顕信公が再び諸神を
勧請したみたいですが北畠家一族が散々な
目にあってしまい、また長く廃絶して
しまったようです。
現在の神社は昭和四十六年に小笠原壽久翁が
北畠家縁故者や崇敬者とともに建立された
社殿のようです。
平成二年には鎮座二十年記念として本殿を
三棟建立しています。
本殿が三棟ある神社は全国的にも
珍しいそうです。
というわけで、『八甲田神社』の
歴史は古くもあり新しくもあるのです。

社殿。 本殿は社殿の裏側にあり、
社殿右側の石畳の道を進むと行けます。

凄い上向きな写真になっているのは
天気のせいでガラスに自分がばっちり
写ってしまっているからです。

大きな神社ではないので本当にすぐ裏手と
いう感じのところにあり、
社殿横の石畳の道に入るとすぐに本殿への
門が見えてきます。

本殿へと続く門の前までは来れますが、
門は閉ざされています。
引っ張っておいてなんですがこれ以上先へ
普段は進めません。
因みに、お賽銭は門の前にあるお賽銭箱へ
入れることができます。
ここまでくると、門の奥の本殿が
チラ見できます。

山の神を祀るに相応しい本殿ですね。
こういう作りの本殿、好みです。
実はお正月の初詣の時期は、
本殿への門が解放されており、
三棟それぞれの本殿へお参りが
可能ですので、その時期に是非本殿へ
お参りに来てみてはどうでしょうか。
三棟の本殿それぞれには別の神額が
掲出されていて
三本殿に向かって中央の本殿には
『北畠之大神』の神額が
三本殿に向かって左側の本殿には
『美穂屋姫大神』の神額が
三本殿に向かって右側の本殿には
『八甲田之大神』の神額が
それぞれ掲出されています。
颱風神社
八甲田神社境内には『颱風神社』という
ものが建立されています。
令和二年九月建立という本当につい最近
鎮座された神社で八甲田神社の
社殿創建五十周年を記念し建立された
そうです。

台風による被害が県内に出ないよう
災害防止祈願祭を斎行しているそうです。

左側の壁の額縁には雷神が

右側の壁の額縁には風神が、
それぞれ飾られています。

そして、『颱風神社』の本殿。
神鷹
八甲田神社社殿そして本殿には、
鷹の彫刻が向かい合うように飾られています。


なぜ鷹かというと八甲田神社の神使が
鷹であり『神鷹』と呼ばれているからです。
曙神社
『颱風神社』の隣には
『曙神社』があります。

本殿も収めた構図で写真を撮れるのですが
いつものセンスのなさで真正面からの
写真しかありませんでした。
因みに本殿は小さいですが、御祭神は
『天照大御神』、
『月夜見大神』、
『大地主大神』、
と、有名な神様ばかりです。
八甲田山神社
実は、『八甲田神社』とは別に
『八甲田山神社』という神社があります。
青森市で千年以上続く廣田神社の
17代目宮司が同神社の物置の掃除を
していて偶然見つけた屏風がすべての
始まりでした。
屏風や青森市史などから過去には
『八甲田山神社』というものが
存在していたことがわかり、
さらには廣田神社の15代目宮司が
八甲田山神社の宮司を兼務していたことも
判明したらしいです。
そこから廣田神社の17代目宮司である
田川伊吹宮司を中心とした再建プロジェクトが
令和4年4月にスタートし、
令和4年7月に『高田大岳奥宮』が
鎮座されています。
『八甲田神社』同様『八甲田山神社』も
歴史は古くもあり新しくもあります。
『八甲田神社』と『八甲田山神社』紛らわしいですね。
でも、どちらも現存します。
自分もそのうち『八甲田山神社 奥之院』へ行ってみたいと思っています。
その際はエンジニアブーツ以外で行こうと思います。